RSS | ATOM | SEARCH
ディープインパクト産駒に異変

 今年の競馬がはじまって約1か月が過ぎたが、ディープインパクト産駒の傾向が昨年と明らかに変わっている。


 昨年のこの時期は3歳の重賞ウイナーが続々誕生し、古馬は目立たなかった。昨年は3歳重賞が6戦のうち4勝していたが、今年は0勝。古馬重賞は昨年の1勝に対し今年は3勝と、まさに逆の傾向を示している。




2012年3月


 また、昨秋は初年度産駒である4歳世代の不振が目立っており、8月16日の関屋記念(ドナウブルー)を最後に重賞勝ちはなかったが、5歳を迎えるとダノンシャークが京都金杯で重賞初制覇を飾り、“終わった”という見解も多かったダノンバラード、トーセンラーがいずれも2年以上ぶりの重賞勝ちを果たしている。


 3歳重賞戦線の不振については、この世代全体でもまだ重賞勝ち馬が出ておらず、確かに期待に応えきれていない面はあるし、この時期の重賞に有力馬が出てこないというのもあるが、連対馬すら出ていないのは昨年を思うと異常とも言える。レッドオーヴァル、アドマイヤオウジャ、サトノノブレス、キズナなど素質馬は続々出ているが、この時期にディープブリランテ、ワールドエース、ジェンティルドンナ、ジョワドヴィーヴルと粒揃いだった昨年とは比べものにならない層の薄さだ。チューリップ賞でレッドオーヴァルが勝って一気に形勢が変わる可能性も高いが、現状は混戦模様と言える。


 一方、古馬戦線では昨年伸び悩んだ3頭が重賞勝ち。一部で囁かれていた“ディープインパクト産駒早熟説”に一石を投じた。このあたりはディープインパクト産駒の競馬場適性が明らかになってきたこともあるだろう。


 これまで、ディープインパクト産駒はJRA芝重賞を29勝しているが、京都・阪神・東京が8勝、中山が3勝、新潟と福島が1勝と、中央場所に偏っており、中京、小倉、札幌、函館は未勝利。こう言われると、ダノンバラードやトーセンラーがローカル重賞で人気になって勝ち切れなかったのを思い出す人も多いだろう。ダノンバラードは金鯱賞(中京)8着、トーセンラーは新潟記念(新潟)7着からの巻き返しであった。


 初年度は「マイルG1しか勝てない」「G2以上は勝てない」「1頭で重賞2勝できない」などいろいろ言われたディープインパクト産駒だが、それらの課題をことごとくクリアし、新たな傾向を見せていくところは、大種牡馬の資質ありといって良いのだろう。


 今年は「4歳以上によるG1勝ち」「ダート重賞でのさらなる活躍」らがテーマになりそうだが、難なくクリアとなるだろうか。注目したい。

 P.S.書き終えた後に吉沢穣治さんが似たテーマで書かれていましたが、せっかく書いたのでUPします・・

author:南原文洋, category:中央, 00:55
comments(0), trackbacks(0), - -
ロゴタイプ朝日杯勝利に思う

 朝日杯フューチュリティSはロゴタイプが優勝。この勝利は血統的に様々なポイントがあった。箇条書きしてみよう。


1.ローエングリン産駒初重賞制覇
2.Haloクロス、Specialクロス
3.2歳王者は牡牝ともSingspiel所有
4.ベリアーニ系初G1制覇


 一般的には1の「ローエングリン産駒初重賞制覇」が真っ先に思い浮かぶだろう。私は種牡馬としてのローエングリンに大きな期待をかけていたので、今回の1着3着は喜ばしい出来事であった。2世代目の初重賞制覇がG1の舞台というのは、高く評価できることだと思う。


 2に挙げたように、ロゴタイプはHalo4×3とSpecial6×5のクロスを併せ持つ配合。Haloクロスの活躍馬は近年続出しているし、Specialクロスも、Sadler's WellsやNureyevを持つ馬の配合を考える際、“血統屋”がまず頭に浮かぶクロスと言えるので、個人的にはセオリー通りの配合馬だ。エルコンドルパサーで大きな注目を集めたこのクロスも、アイムユアーズや本馬など、新たなパターンが生まれてきて興味深い。


 そして3「2歳王者は牡牝ともSingspiel所有」。ロゴタイプは父の父がSingspielで、阪神ジュベナイルフィリーズを勝ったローブティサージュは母の父がSingspiel(父ウォーエンブレム)。お互いに、祖父がSingspielという血統だ。ローブティサージュは母系だが、Haloのクロスを持つのも共通している。来年以降もこのパターンには注目してよさそうだ。


 SingspielはジャパンCを勝ち、Sadler's Wells系でも日本向きのHaloの血を持つだけに、もっと日本で成功すると思っている。ムーンバラッドは成功せず、アサクサデンエンも今年残念ながら種牡馬引退となったが、まだ来年生まれる産駒もいるはずなので、ローエングリン産駒とともに、まだまだ注目していきたい。


 最後に4「ベリアーニ系初G1制覇」というのも血統的には大きなニュースである。ベリアーニの名が世に知れ渡ったのは、1993年の秋、Risen Star産駒の持込馬スターバレリーナがローズSを勝った時だろう。古牡馬相手に善戦を続けていたケイウーマン、後にエリザベス女王杯を勝ちダート女王となるホクトベガらに3馬身差をつけた勝ちっぷりはインパクトあるもので、続くエリザベス女王杯でもベガ、ノースフライト、ユキノビジンらを抑え1番人気に推された(結果は9着)ほどだ。


 それからグランパドドゥ、アグネスラズベリ、アンドゥオール、そして今年重賞連勝したパドトロワなど、コンスタントに重賞勝ち馬を送る堅実な牝系ではあったものの、なかなかG1には届かず、苦節19年。ついにG1を制した。


 社台グループの代表的な牝系はいくつもあるが、ちょっと前まで「G1では足りない牝系」と言われるような牝系でも、1頭活躍馬が出ると一気に名牝系になることが多い。ファンシミン系(ラインクラフト、アドマイヤマックス)、スカーレットインク系(ダイワスカーレット、ダイワメジャー、ヴァーミリアン)、グランマスティーヴンス(オルフェーヴル、ドリームジャーニー)などがその例で、ローズキングダムのローザネイ系やベリアーニ系もその候補に躍り出たといえるだろう。


 ベリアーニ系の活躍馬の父を見ると、Risen Star、フジキセキ、ブライアンズタイム、エアジハード、ドクターデヴィアス、スウェプトオーヴァーボード、ローエングリンと、実にバラエティに富んでおり、様々なパターンでの発展が考えられる。牝系の“伸びしろ”みたいなものは上記名牝系にヒケをとらないのではないだろうか。


 次にG1制覇を果たす社台牝系はバッフドオレンジ、レディチャッター、ノーベンバーローズ、タックスペイヤーズフォリー、ジェヌインダイアモンド、ハニードリーマー、デビルズブライドあたりだろうか。グランマスティーヴンスもローザネイもベリアーニも朝日杯でG1初制覇を果たしているので、来年の朝日杯にこれら牝系の馬が出てきたら注目してみたい。

author:南原文洋, category:中央, 08:30
comments(2), trackbacks(0), - -
ドイツ血統の拡大加速中

 金鯱賞をオーシャンブルーが制した。「またステイゴールド産駒か」と思い改めて血統表を確認すると、3代母の父にSurumuの血を発見。今流行のドイツ血統である。


 オーシャンブルーの母*プアプー Peu a Peuはドイツでデビューし、後に米国に移籍してイエルバブエナBCH(米G3・芝11F)を勝ち、1分58秒56という好タイム決着だったビヴァリーヒルズH(米G1・芝10F)でもG1・4勝のAstraにハナ差2着の好走を見せた。ドイツ血統でも日本向きのスピードを見せていたのだ。ちなみに、牝系は5代母Prairie Bunnyまで遡っても重賞勝ち馬こそいるがG1勝ちはいないという、一流半といったもの。


 さて、ドイツ血統といえば、2年前に既に栗山さんがご指摘(参照)されていたように、昔でいうとスタイヴァザントやホッカイダイヤ(ホッカイルソーの母の父でもあった)などが思い出されるが、近年ではさらに目立ちはじめ、マンハッタンカフェやビワハイジ一族が勢力を拡大している。


 2010年に母の父Platiniのエイシンフラッシュが日本ダービーを勝ったのは日本におけるドイツ血統にとって大きなターニングポイントとなり、ビワハイジの一族もブエナビスタ、ジョワドヴィーヴルが2008年〜2011年にかけてG1勝利を収めている。


 今年もその勢いは止まらず、きさらぎ賞を勝ったワールドエース、ブエナビスタらの弟でエプソムCを勝ったトーセンレーヴのほか、ダービー馬エイシンフラッシュも2年ぶりのG1制覇を天皇賞・秋で飾った。G1での好走は何度かあったが、2年以上も勝てなかったダービー馬が天皇賞のような大レースで再び栄冠を手にしたことは一度もない快挙で、この要因をドイツ血統の底力に求めても良いだろう。


 さらに、注目すべきは、現2歳馬にもドイツ血統の勢いが現れていることだ。現2歳の母の父Monsunは3頭が出走していて、2頭(サトノネネノーブルコロネット)が新馬勝ち、1頭(ヴァーティカルサン)が2戦目で勝ち上がるという素晴らしい成績を残している。


 サトノネネとノーブルコロネットはいずれもディープインパクト産駒の牝馬で、お互いが比較される存在となりそうだが、サトノネネは母が愛国産馬で、ファーディナンドやIrish Riverなど米国繋養種牡馬の血が入る馬で、かたやノーブルコロネットは5代母までドイツ生まれという純ドイツ産馬。“ドイツ血統の底力を見せる”という意味では後者に注目してしまう。


 この2頭のさらに上を行くのがヴァーティカルサンで、10代母までドイツ産馬という牝系の出身で、父がマンハッタンカフェだから、独ダービーなどを勝った名馬Luciano4×4のクロスを持つ、ドイツ色のかなり強い血統だ。


 このように、この3頭はサンデーサイレンス系×Monsun配合という共通点こそあるものの、いずれもタイプが異なり、実に興味深い。3頭がどんな走りを見せるか、非常に楽しみだ。

author:南原文洋, category:中央, 03:40
comments(0), trackbacks(0), - -