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安田記念出走馬・血統診断

 日本ダービー、英ダービーに続き、出走全馬の血統診断をしました。歴戦の古馬に対して今さら血統診断って…と思われるかもしれませんが、新しく何かが見えてくることもあるかと思うのでやってみます。


◆エイシンアポロン
父:Giant's Causeway
母:Silk and Scarlet
母の父:Sadler's Wells


配合:9
牝系:9
距離適性:8
総合得点:26


 父は“鉄の馬”と呼ばれGI・6勝のGiant's Causeway。半弟に今年のジェベルハッタ(首G1)を勝ったMaster of Hounds、祖母の兄に仏ダービー馬Sanglamoreなどがいる牝系。マイラーのGiant's Causewayに母系のSadler's Wellsでスタミナと底力を強化した教科書通りの好配合で、その奥のLyphard×Irish Riverなどもスキがない。配合は10点に近い9点。サンデーサイレンスにもKingmamboにも合いそうなので、種牡馬入り後に良い牝馬が集まるような活躍を見せて欲しい。重用すれば、日本のStorm Cat系の祖となれる存在だろう。

 

◆フィフスペトル
父:キングカメハメハ
母:ライラックレーン
母の父:Bahri


配合:8
牝系:7
距離適性:9
総合得点:24


 コスモセンサーと同じくキングカメハメハ×Rivermanの配合パターン。祖母Lilac Gardenの産駒にケンタッキーオークス馬Blusing K.D.がいる牝系だ。祖母はRoberto×Nijinskyという英ダービー配合で、このあたりの血が、2歳時から6歳の現在までトップクラスで居続けられる要因になっているのだろう。母の父Bahriも強いマイラーだったので、成績が物語るようにマイルはピッタリ。

 

◆ローズキングダム
父:キングカメハメハ
母:ローズバド
母の父:サンデーサイレンス


配合:9
牝系:9
距離適性:5
総合得点:23


 母はフィリーズレビュー(GII)など重賞2勝、GI・2着3回の活躍馬。本馬は能力の違いで朝日杯FSを勝ったが、牝系全体の傾向からも、本質は中距離馬。3歳以降に連対したのはすべてスローペースの2400m以上。祖母ロゼカラーの父Shirley Heightsは典型的な欧州ステイヤー血脈だけに、アメリカ競馬のようなハイペースには対応しにくいのだろう。

 

◆ラッキーナイン
父:Dubawi
母:ビールジャント
母の父:Green Desert


配合:8
牝系:6
距離適性:8
総合得点:22


 母は輸入され、サドンストーム(父ストーミングホーム)を出している。Dubawi×Green Desertの配合は、10年の英2000ギニー勝ち馬Makfiと同じ。どちらも欧州では旬な血脈で、配合レベルは高い。

 

◆ダノンヨーヨー
父:ダンスインザダーク
母:フローラルグリーン
母の父:フォーティナイナー


配合:7
牝系:9
距離適性:6
総合得点:22


 伯父にナリタトップロード(菊花賞-GI)、従兄にマツリダゴッホ(有馬記念-GI)がいる血統。近親の大物2頭はステイヤータイプに出たが、この馬は母の父にフォーティナイナーが入りマイラーに出た。ダンスインザダーク産駒で母系にMr.Prospectorが出るパターンは、以前だとザッツザプレンティが菊花賞を勝ったが、最近はマルカフェニックスやザレマなど短距離タイプが多い。ミルジョージやブライアンズタイムらがそうであったように、種牡馬が高齢化するとよく起こる現象だ。

 

◆ドナウブルー
父:ディープインパクト
母:ドナブリーニ
母の父:Bertolini


配合:6
牝系:7
距離適性:8
総合得点:21


 ヴィクトリアマイル2着で、牝馬2冠・ジェンティルドンナの全姉。以前書いたように、ジェンティルドンナの配合は評価していない。母の父Bertoliniは悪くないが、その奥のリファーズスペシャルとジュニアスがやや劣るのだ。ただ、昨年リアルインパクトが勝ったように、マイルGIに強いディープインパクト産駒でもあり、距離適性は高い。

 

◆マルセリーナ
父:ディープインパクト
母:マルバイユ
母の父:Marju


配合:6
牝系:7
距離適性:8
総合得点:21


 半弟にグランデッツァ(スプリングS-GII)。ダービーのグランデッツァの項でも書いたが、母の父Marju、祖母の父Distant Relativeもマイラー種牡馬であり、マイルは合う。

 

◆ペルーサ
父:ゼンノロブロイ
母:アルゼンチンスター
母の父:Candy Stripes


配合:7
牝系:8
距離適性:5
総合得点:20


 祖母の産駒にアルゼンチン牝馬チャンピオンのDifferentがいる牝系。母の父がBlushing Groom系のCandy Stripesとくれば、血統的イメージからは2000〜2400mあたり。ゼンノロブロイ産駒のマイル重賞勝ちはコスモネモシンのフェアリーS(GIII)のみで、牡馬だと連対すらない。最近でも目黒記念(GII)3着のコスモロビン、青葉賞(GII)3着のステラウインドなど、長距離重賞で好走する馬も多く、マイルは不得意条件といって良い。

 

◆シルポート
父:ホワイトマズル
母:スペランツァ
母の父:サンデーサイレンス


配合:7
牝系:7
距離適性:6
総合得点:20


 従妹に昨年の阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)3着のサウンドオブハート、4代母の産駒にベルモントS(米G1)勝ち馬Caveatがいる牝系。ホワイトマズル×サンデーサイレンスはアサクサキングス、シャドウゲイト、シンゲンと計4頭の重賞勝ち馬がいるが、マイラーから中距離馬、ステイヤーと様々なタイプが出ている。Woodman、Danzigと質の高い米血スピードが入っており、マイルGI対応可能になっている。

 

◆ストロングリターン
父:シンボリクリスエス
母:コートアウト
母の父:Smart Strike


配合:7
牝系:6
距離適性:6
総合得点:19


 母コートアウトが、Smartenの母Smartaireの4×3のクロスを持っているのが特徴。こういう牝馬は繁殖として成功することが多い。牝系は種牡馬HomebuilderやHoustonが出ている。祖母はNijinsky×Vaguely Nobleとスタミナ豊富で、字面上はクラシックディスタンスもいけそうだが、シンボリクリスエスは米血が入るとマイラー化しやすい。

 

◆リアルインパクト
父:ディープインパクト
母:トキオリアリティー
母の父:Meadowlake


配合:6
牝系:6
距離適性:7
総合得点:19


 昨年の勝ち馬。ディープインパクト産駒の重賞勝ち馬で母系にNorthern Dancerを持たないのはダノンバラードとこの馬だけ。Hail to Reasonの母Nothirdchance5×5のクロスが特徴で、ディープインパクト産駒の中では異質の配合馬だ。兄アイルラヴァゲインも父エルコンドルパサーながらスプリンターだったように、母の父Meadowlakeは圧倒的にスピード能力を際立たせる血統だ。マイルも良いが、秋はスプリンターズSに出走して欲しい。

 

◆サダムパテック
父:フジキセキ
母:サマーナイトシティ
母の父:エリシオ


配合:7
牝系:5
距離適性:6
総合得点:18


 フジキセキ産駒の牡馬で、古馬になって芝GIを勝ったのはキンシャサノキセキ、ファイングレインのスプリントGIのみ。ここで勝利できればフジキセキ産駒の壁を一つ破ることになる。牝系に大物は出ていないが、母の父にクラシック血統のエリシオが入り、祖母のMr.Prospector×Hoist the Flagという軽さをカバーしている。

 

◆グランプリボス
父:サクラバクシンオー
母:ロージーミスト
母の父:サンデーサイレンス


配合:7
牝系:4
距離適性:7
総合得点:18


 母のサンデーサイレンス×Secretariatという配合は一見ゴージャスだが、牝系にこれといった活躍馬はいない地味なもの。“牝系は地味だが配合は良い”馬といえばカワカミプリンセスなどを思い出す。いい種牡馬を代々重ねていくと、こうして花開くことは多いが、このタイプ、カワカミプリンセスがそうだったが、牝系の後押しがないせいか、活躍期間が短い傾向がある。カワカミプリンセスは4歳以降未勝利で、グランプリボスも4歳になってから3戦して掲示板入りも無い。その点がちょっと気になる。

 

◆アパパネ
父:キングカメハメハ
母:ソルティビッド
母の父:Salt Lake


配合:6
牝系:4
距離適性:7
総合得点:17


 母はフェアリーS(GIII)2着のソルティビッド。アパパネと母の他にはこれといった活躍馬がいない地味なファミリーだ。Salt Lake×Spectacular Bidという配合の母はスピード感は満点だが、クラシック含めGIを考えると底力不足で、アパパネの配合に高い評価は出来ない。キングカメハメハとの配合だとダートの短距離のイメージだ。

 

◆スマイルジャック
父:タニノギムレット
母:シーセモア
母の父:サンデーサイレンス


配合:8
牝系:3
距離適性:6
総合得点:17


 母はサンデーサイレンス×マルゼンスキー×セントクレスピンだからスペシャルウィークと同配合。その母にタニノギムレットだから2400mがピッタリのイメージだが、古馬になってからはマイル戦を中心に活躍している。牝系は3代母の産駒にアエロプラーヌ(川崎記念)がいる程度で、JRA活躍馬はスマイルジャックのみだ。

 

◆ガルボ
父:マンハッタンカフェ
母:ヤマトダマシイ
母の父:ジェネラス


配合:6
牝系:5
距離適性:6
総合得点:17


 祖母の兄にスターマン(京都新聞杯-GII)、4代母タイズキの子孫にトシグリーン(CBC賞-GII)などがいる牝系。マンハッタンカフェにCaerleon系の配合はジョーカプチーノやレッドディザイアもいるニックスだ。3代母の父ファストトパーズは仏2000ギニー馬だが種牡馬としてはイマイチ。牝系も地味なので、GI級の血統背景とはいいづらい。

 

◆グロリアスデイズ
父:Hussonet
母:San Century
母の父:Centaine


配合:5
牝系:5
距離適性:6
総合得点:16


 父はMr.Prospector産駒で、チリでチャンピオンサイアーになった馬。その母SacahuistaはBCディスタフ(米G1)勝ち馬という良血だ。牝系はNZで発展している。母の父CentaineはMy Babu系種牡馬。祖母の父はSir Tristram産駒Grosvenorと、父以外には、日本向きの血脈は入っていない。

 

◆コスモセンサー
父:キングカメハメハ
母:ケイアイバラード
母の父:リヴリア


配合:6
牝系:2
距離適性:7
総合得点:15


 4代母まで遡ってもJRAはおろか地方重賞勝ち馬さえいないという、かなり地味な牝系で、“よくここまで牝系が繋がったな”と思えるほどのもの。実際、祖母ハナサキメグロの牝系は母ケイアイバラードしか残っていないようだ。祖母の父がNorthern Dancerの全弟トランスアランティックで、Northern Dancer=トランスアランティックの5x5x3のクロスがあるのが特徴と言えるが、これは特にプラス材料にはならない。キングカメハメハとNever Bendはニックスで、ローズキングダム、フィフスペトルなどがこの血を持っている。

 

 以上、全馬を見るとエイシンアポロンの評価が非常に高くなったが、最低点となったコスモセンサーは、馬券的に面白いと思ってたりする馬です。馬券はオッズを見ながら、妙味のある馬から買う予定です。

author:南原文洋, category:中央, 07:52
comments(4), trackbacks(0), - -
Comment
今回の安田記念。GCのパドック解説なども含め
色々思うところはありましたが、
南原さんは今回の診断を後から検証されたりしますか?
ライトなファンですが, 2012/06/03 6:04 PM
GCのパドック解説、何があったんですか?

私はレース後にもちろん見返しますよ。
血統やレースの傾向は日々変わっていくものなので、
結果に伴い、血統への考え方を微修正していきます。

ストロングリターンとグランプリボスは配合は良いと思うので、結果にはまあ納得です。

ストロングリターンの距離適性が高くないのが、反省点といえば反省点ですが。
正直、シンボリクリスエスの配合パターンはまだ掴み切れていないところがあります。

でも、コスモセンサーにひと言触れてたのは良かったかなと思います。

あと、あくまでもこれは予想ではありません。
能力とか調子とかを考慮に入れていない、
血統評価ということをご理解いただければと思います。

ちなみに馬券は人気薄につられてフィフスペトルから買いました…
南原文洋, 2012/06/03 8:14 PM
南原様 コメントへの返答ありがとうございました。
ブログに対して長文のコメントというのも憚られ
GCのパドック解説云々含め足りていない部分がありすみませんでした。

録画していなかったので正確ではありませんが
GCの解説で推奨5頭のうちに16ローズキングダム、18ペルーサが入り
その推奨理由として「本調子ではないが、今のマイル路線組より厳しいところと戦ってきたから」
という距離適性も枠順もコンディションも全てをすっ飛ばした話をされ、
(枠順ということでは17マルセリーナも推奨にはいっていたのですが)
予想とか解説とかを生業とされている人は、
その予想にこの結果ということをどう捉えるのだろうと疑問になったのです。
私は普段栗山さんや望田さんのブログなどを見させてもらい、全てではないにしろ
実際の競馬の結果から見て、予想はどこが正しくどこが間違ったのかということの一端を
知ることも出来ていましたが、今回はそのGCの解説以外にも「競馬コンシュルジュ」内で
辻三蔵という方は「マイルまでなら今の香港馬のほうがレベルが上」と香港馬に本命対抗を
つけておられたりと(番組内で望まれる役割ということもあるのかもしれませんが)
どうにも納得いかない事が多くああいうコメントとなってしまいました。

南原様には直接関係ないことでからんだような形になり申し訳ありませんでした。
前述のライトなファンです, 2012/06/05 10:51 PM
ご返答ありがとうございます。
確かに、パドック解説で「本調子ではないが」と言う馬を推奨して欲しくはないですね。純粋に、馬体と気配だけを診断して欲しいです。

辻さんの見解も結果はどうであれ、間違いではないと思います。実際、香港のマイラーのレベルは高いと思います。遠征や初めての舞台で力が出せなかったということでしょう。

私は予想は得意ではないので、なるべく公表はしないようにしています。

でも、たまには、血統で高評価した馬が激走することもあると思いますので、そのくらいの参考としてご覧頂ければと思います。
南原文洋, 2012/06/06 8:47 AM









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