RSS | ATOM | SEARCH
スズカマンボ産駒がプチブレイク

 最近、筆者が気になっている種牡馬がスズカマンボ。2月24日現在で5頭が6勝を挙げ、サイアーランキングは27位と、産駒デビュー4年目(3世代目)だがなかなかの滑り出しを見せている。


 稼ぎ頭は金蹄S(1600万下・ダート2100m)を含む現在3連勝中のユーロビート(セン4)だが、3歳馬の活躍も目立っている。こぶし賞を勝ったメイショウマンボ(牝3)、24日の3歳500万下を勝ったマンドレイク(牡3)と、この時期にしてすでに2頭のJRA2勝馬を送り出しているのだ。


 過去の産駒を見てみると、初年度産駒が初めて2勝目を挙げたのは3歳5月のパワースポット、2年目産駒が3歳8月のスズカウラノスでいずれもダートの平場戦であり、この時期に2頭がいずれも芝で2勝しているというのは過去にないことなのだ。


 その2勝も内容が濃く、メイショウマンボは紅梅Sでレッドオーヴァルの2着後に、こぶし賞では2着に1馬身1/4を付ける快勝。マンドレイクも平場にしては好メンバーが揃ったレースを勝ちきった。


 産駒全体の傾向にも変化が見える。昨年までは全42勝中約65%の31勝がダートでの勝利だったが、現3歳世代の6勝中5勝が芝でのものになっている。メイショウマンボは重賞戦線でも好勝負できそうな素質を感じさせており、この馬の走りでスズカマンボの評価も一気に変わってきそうだ。


 スズカマンボといえば人気薄で天皇賞・春を勝った馬で、種牡馬入り当時の期待度もそれほど高くなかったが、ダンスインザダークやトーセンダンスと同牝系でサンデーサイレンス産駒だから血統はそれらと似ているし、日本で実績のあるKingmamboが母の父なので種牡馬としての血統的魅力は大きい馬だった。


 3世代産駒でプチブレイクというのは珍しいパターンだが、この時期の産駒の活躍は、種付け相手の質向上に繋がりそうだ。現在活躍中の産駒はもちろん、来年産まれるスズカマンボ産駒にも注目したい。

author:南原文洋, category:中央, 20:13
comments(0), trackbacks(0), - -
タイムパラドックス産駒が活躍中

 今、地方競馬でのタイムパラドックス産駒の勢いが凄い。2010年ハイセイコー記念-大井をセルサスが勝って以来重賞勝ちは途絶えていたが、3世代目の現3歳が次々に重賞制覇。昨年の鎌倉記念-川崎と平和賞-船橋をインサイドザパークが、ハイセイコー記念-大井をソルテが制し、約1か月の間に3つの南関東2歳重賞を制したのだ。


 さらに水沢ではオグリタイムが南部駒賞を、金沢ではミカワジェイドがヤングチャンピオンと、主要2歳重賞を制覇してNAR2歳チャンピオンサイアーを獲得。今年に入ってもソルテがニューイヤーC-浦和を9馬身差で圧勝し、笠松ではゴールドブラザーがゴールドジュニアを制した。


 3歳2月の段階で、同世代から5頭の重賞勝ち馬を出すというのはかなり優秀なこと。父ブライアンズタイムはフリオーソを出したように地方でも実績があり、後継種牡馬のマヤノトップガンもメイショウトウコンやプリサイスマシーンなどがダートで活躍しているが、タイムパラドックスの種牡馬の期待度からすると予想以上の健闘と言える。


 これは、ダートでしか競走成績を残せなかった種牡馬の再評価にも繋がりそうだ。すでにゴールドアリュールが素晴らしい実績を残しているが、1頭だけでなく次が続くことが重要で、このタイミングでのタイムパラドックス産駒の活躍は、カネヒキリ、ヴァーミリアンや今年種牡馬入りするスマートファルコン、トランセンドなどの牝馬の質向上の後押しになりそうだ。それを考えると、サクセスブロッケンが種牡馬入りできなかったのは少し残念だ。


 重賞勝ち馬6頭の配合を見ると多種多様で、様々な配合パターンから活躍馬がでており相手を選ばないタイプだ。強いて言えば母系にNijinsky所有馬が3頭、Never Bend所有馬が4頭というのが目立つ程度で、Mr.Prospector保有馬は2頭(いずれもWoodman経由)、サンデーサイレンスを持つ馬はいなかった。興味深い配合としては、オグリタイムが母の父タイトスポットでGraustark=His Majesty4×3、Lyphard4×4のクロスを持っている。


 JRAでは昨年13勝で総合61位。両津湾特別(1000万下)勝ちのセイカフォルテが稼ぎ頭となるが、今年の3歳馬の活躍が呼び水になり、産駒の質が上がればステップアップも可能だろう。昨年、レインボーダリアを出して意地を見せた父ブライアンズタイムも含め、この父系の巻き返しには注目したい。

author:南原文洋, category:中央, 10:21
comments(0), trackbacks(0), - -
マンハッタンカフェ考

 グレープブランデーがフェブラリーSを勝った。マンハッタンカフェ産駒のJRAG1勝ちはヒルノダムールの2011年天皇賞・春以来約2年ぶり4勝目となる。


 これまでの4頭はジョーカプチーノ(NHKマイルC・芝1600m)、レッドディザイア(秋華賞・芝2000m)、ヒルノダムール(天皇賞・春・芝3200m)、グレープブランデー(フェブラリーS・ダート1600m)と、いずれも異なる条件での勝利。ジョーカプチーノはスプリンター寄りの馬だから、まさに“芝ダート問わず短距離から長距離まで”という万能タイプだ。


 ちょっと調べてみると、「異なる馬でJRAの芝・ダート両方のG1を勝った種牡馬」というのはシンボリクリスエス、フジキセキ、エルコンドルパサー、タイキシャトル、サンデーサイレンス、フレンチデピュティ、ブライアンズタイム、ホワイトマズルくらいなもので、歴史的大種牡馬サンデーサイレンスは例外として、上記の種牡馬の産駒を思い起こしても、これほどバラエティ溢れる産駒を送り出せる種牡馬はなかなかいないだろう。昨年、あらゆるカテゴリで活躍馬を出したキングカメハメハも、JRAのダートG1は未勝利なのだ。

 マンハッタンカフェは現役時代の成績こそステイヤーのそれだが、長距離戦を瞬発力で勝ってきた馬。時計がかかりやすい暮れの中山・有馬記念で上がり3F33秒台(33秒9)を記録して勝ったのは史上初であり、その後もディープインパクトとオルフェーヴルしか出ていない。“瞬発力”というのが種牡馬として重要なファクターであるかということがわかる。この部分は、血統や配合だけでは結論付けできないところで、“血統屋”としては血統で分析してみたいところだが、ここでは止めておこう。

 2009年にJRAリーディングサイアーとなって以来、2010年5位、2011年6位、2012年10位と年々ランクを落としているが、現2歳はリーディング獲得の翌年の種付けで生まれた産駒。今年から来年に賭けて再浮上してきそうだ。

author:南原文洋, category:中央, 22:09
comments(0), trackbacks(0), - -